不動産業者が住宅診断(ホームインスペクション)に対してどう感じているか、その本音と今後の対応について解説します。
住宅診断(ホームインスペクション)は嫌な顔をされる?
住宅購入者にとっては購入判断に役立てるものであり、大事なものという位置づけの住宅診断(ホームインスペクション)ですが、不動産会社の立場からこの住宅診断はどういったものに見えるのでしょうか。よく住宅診断(ホームインスペクション)を利用しようとしている方(買主)から、「不動産会社が嫌な顔をしないでしょうか?」と質問をお受けすることがあります。疑われていると感じて嫌に思わないかと心配されているのです。
不動産業者の本音
「買って欲しい」「契約してほしい」と考えている売主や不動産仲介業者は、疑われているというよりも、せっかく前向きに購入検討している買主が住宅診断(ホームインスペクション)の結果次第で購入を中止することを心配していることがほとんどです。つまり、自分たちの儲け・利益を計算しているのですね。売主の一部には「疑われているのか?」と感じる方もいるかもしれませんが、それは少数派です。にもかかわらず、「疑うのですか?」とこれを理由にプレッシャーをかけようとする業者もいます。
自信があればむしろ堂々としているものですし、なかにはこれを機に買主目線のチェックを学ぼうという会社もあるぐらいです。買主としてはこういった不動産会社から購入したいものですね。
今後は改善されていきそうな不動産会社の対応
売主や建築会社としては、何をチェックしてどういった指摘をされるのか、と身構えることはよくありますし、その気持ちも理解できるものです。しかし、大きな買い物をする買主の気持ちを察して積極的に協力する会社が一般化しつつあり、数年後にはスムーズに利用できる環境になるのではないでしょうか。
不動産会社の担当者(営業マン)は建築知識がない方が圧倒的多数ですから、実際に建物に問題があるかどうかは把握していませんので、建物の瑕疵や不具合については知らないことがほとんどです。建物について把握できていない方の機嫌を伺って、リスクをそのまま残すのではなく、しっかり主張すべき点を主張した方が良いでしょう。
※追記(重要)
不動産会社向けに住宅診断(ホームインスペクション)の斡旋営業をする診断業者が増え、今では不動産会社と提携した業者を買主へ斡旋することが増えました。しかし、その診断内容は簡易的で、かつ検査基準の緩いものであるため、早めに補修すべき大事な症状などが買主に報告されず、買主が大丈夫な住宅だと誤解しているケースが非常に増えています。
買主は、斡旋される住宅診断業者ではなく、自ら探して依頼しないと不動産会社の思うようにコントロールされてしまい、買ってからミスに気付くことになります。
不動産会社が斡旋する住宅診断(ホームインスペクション)は買主を誤解させて、買わせるためのツールとして使われていることが多いので注意が必要です。
契約前の住宅診断(ホームインスペクション)を
また、不動産会社が「契約してから住宅診断をしてください」「引き渡しを受けてから住宅診断をしてください」と仰るケースもあります。タイミングが遅れるほどに、後戻りしづらくなりますしリスクが広がることにもなります。状況や利用目的にもよりますが、基本的には契約前の住宅診断(ホームインスペクション)を検討してください。