住宅診断は契約前か契約後か?

住宅診断(ホームインスペクション)を契約前と契約後のいずれに実施するべきか、おすすめのタイミングを解説します。また、非協力的な不動産会社や空家の診断のことも説明します。

住宅診断は契約前がオススメのタイミング

アネストは住宅診断(ホームインスペクション)のパイオニアです。日本ではまだ住宅診断サービスが全く普及していなかった時期から、その必要性に注目して取り組んできました。今では、毎日のように全国各地で住宅診断を実施するまでになっています。

そのなか、普段から住宅診断のご利用を検討されている方から、「住宅診断を利用したいが、物件の契約をする前か契約後か、どのタイミングで依頼したらいいのでしょうか?」とご質問いただくことが多いです。

購入予定の物件(新築でも中古でも)を購入する前(契約前)にご利用いただければ、その物件の購入判断のための材料とすることができますし、また瑕疵などが見つかったときに売主に補修して頂く交渉がしやすいこともあります。「これを補修して頂ければ、購入します」という条件ですね。

よって、住宅診断(ホームインスペクション)を利用されるのであれば、できれば契約前をお奨めしています。

非協力的な不動産会社もある

ただ、どうしても売主や不動産会社(仲介業者)が非協力的で契約前に診断できないことがあります。また、診断する了承を得られたものの、契約前に実施する日程調整が間に合わないこともあります。このような場合には、契約後に住宅診断を行うこともあります。

基本的には、契約前の住宅診断を行うよう調整して頂き、どうしても無理な場合には契約後もご検討頂くとよいでしょう。契約後の場合は、売買契約書のなかで「契約後の住宅診断で瑕疵が見つかった場合は○○○までに売主の責任と負担で補修する(新築の場合)」などといった文言を入れて頂けると良いです。

海外では、契約後の診断で瑕疵が見つかった場合に契約解除できる契約がなされることもありますが、日本ではまだ業界・社会がそこまで進んでいません。いずれ近い将来にそのような仕組みができあがる可能性もあるでしょう(今でも一部の買主が交渉により契約書に明記して頂くことがあります)。

契約後なら空家になってから住宅診断を

ちなみに、中古住宅の場合で契約後に住宅診断を行うのであれば、現地の荷物・家具の有無にも注意しましょう。診断時に大きな家具等があっても動かさずに診断を行うことになります。クローゼットや押入れ内部の荷物類もどけることなく、そのままの状況で診断します。

売主が居住中の物件を購入する場合で同じ契約後であるならば、売主が引っ越しして退去された後に行うのも選択肢の1つだと言えます。契約後に住宅診断するならば、空家になってから利用しましょう。

引渡し後の住宅診断

契約後の住宅診断ですが、できれば引渡し前に利用してください。引渡しの際に残代金を売主へ支払うことになりますが、代金の全てを支払う前か支払い終わった後かで売主の対応が異なることがあるからです。

支払う前なら買主から求める補修工事に応じてくれるケースでも、引渡し後には応じてもられないことがあります。買主の立場で考えれば、引渡し前の方が有利になることが多いのです。

中古住宅の売買においては事情により引渡し前に実施できないこともありえますが、その場合、引渡し後に実施するしかないです。その場合は売買契約時に売主が瑕疵担保責任を負う契約内容となっているか確認することが重要です。引渡しから3カ月などと期間を明記して瑕疵担保責任を決めるはずですから、それを確認したうえで、引渡し後その期間内に住宅診断を利用するとよいでしょう。