一戸建ての住宅診断(ホームインスペクション)の調査内容に関してよく頂戴するご質問とその回答をご紹介します。前回は、「住宅診断を実施したときに床下で確認できることは何か?」でしたが、床下に代わって小屋裏について説明します。
小屋裏の住宅診断で何を確認できるのか?
住宅診断の際には確認可能でさえあれば、小屋裏の調査も行いますが、小屋裏で確認できることについて説明しましょう。
小屋裏の調査範囲と主な項目
住宅の床下で確認できることは、主に以下の項目です。
- 梁・母屋・小屋束・垂木などの構造部分となる木部
- 構造部等を留める金物
- 鉄骨材・ボルト等(鉄骨造の場合)
- 野地板などの染み
- 断熱材
住宅の構造・工法・プランによって、確認できる項目・範囲は異なりますが、以上の項目が調査対象としてあげられます。
小屋裏の確認は、点検口から覗いて実施できますが、可能ならば小屋裏内部へ進入して奥まで詳細に調査しておきたいところです。木造軸組工法の住宅であれば、梁の上を慎重に移動して奥まで確認しに行く必要があります。体制を崩すなどして梁から足をはずしてしまい、天井材に載ってしまうと天井を破って落下してしまいますので、慣れない一般の人はやめておくべきでしょう。
屋根裏収納のある住宅も多いですが、その場合、収納内部の壁から水平方向に点検口が設置されていることもあり、そこから覗いて広範囲に確認できることもあります。しかし、屋根裏収納の壁材や天井材に隠れて見られない箇所も生じるため、メリットとデメリットの両方があると言えます。
小屋裏の住宅診断の重要性
小屋裏の住宅診断は、主要な構造部分を直接に目視確認できることから、非常に重要なものですが、その他にも重要だと言える理由があります。
1つは、雨漏り痕を確認できるという点です。雨漏りは小屋裏で発見されることも多く、屋根材の裏面にあたる野地板を注意深く観察すると、染みがあるのを確認できることがあります。染みがあるだけで、すぐに雨漏りと断定できるものではありませんが、その可能性を疑う必要があるでしょう。
染みは、雨漏り以外にも結露の可能性や新築施工時の汚れなどの可能性もあります。また、雨漏りであったとしても、既に原因箇所を補修して漏水が止まっていることもあります。
小屋裏が重要である2つ目の理由は、断熱材を広範囲に確認できという点です。断熱材が無い住宅では、快適性や省エネの点で問題があります。また、断熱材があるものの隙間だらけで性能をほとんど発揮できていないものもあります。
断熱材に関する指摘事例は住宅診断のなかで最も多いものですから、ぜひ診ておきたいものです。
前述の項目にあげてはいませんが、小屋裏では意外な指摘があがることもあります。それは、シロアリ被害です。シロアリといえば床下を思う人は多いですが、一部のシロアリは上へ上へとあがってくることがあります。小屋裏まであがってきたところを発見されることもあるのです。
そして、小動物や昆虫が確認されることもあります。怖いのはハチの巣ですが、他にもコウモリ、ハクビシンなどが確認された事例もあり、床下と同じく小屋裏の住宅診断の重要性も認識されますね。