外壁や基礎にひび割れがある住宅は買ってはいけないか?

外壁や基礎にひび割れがある住宅は買ってはいけないか?

今まさに買おうとしている住宅、特に中古住宅の基礎や外壁にひび割れがあるのを見つけたとき、あなたはその物件を購入しますか?今回は、買主から多く寄せられるこの質問に回答します。

第三者の立場で住宅診断(ホームインスペクション)を行う仕事をしていると、買主が不動産会社に相談できない、もしくは相談・質問しても回答を信用できないことをよく相談されます。そのうちの1つが冒頭の相談です。この相談に回答する前に、まずは基礎知識を説明します。

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1.住宅基礎のひび割れの基礎知識

住宅の基礎をじっくりと観察すれば、ひび割れを見つけることはよくあることです。このひび割れに関する基本的なことをまずは理解しましょう。

1-1.ひび割れとは?

ひび割れはクラックとも呼ばれていますが、ヘアークラックと構造クラックに分けられます。ヘアークラックとは、髪の毛ほどの薄いひび割れという意味で、表面の仕上げ材が幅も深さもわずかに割れている状態を指します。

基礎のひび割れ

次に構造クラックとは、ヘアークラックよりも巾が大きく深さもあり、表面の仕上げ材だけではなく、その下部の構造部分にまでダメージのあるひび割れを指します。

構造クラック

1-2.ヘアークラックはあまり心配しなくてよい

軽微なヘアークラックは多くの住宅の基礎で見られるものですが、これは構造的な影響はなく建物に対して大きなダメージを与えるものではありませんので、それほど気にする必要はありません。

しかし、もし新築してから間もない住宅であるにも関わらず、多数のヘアークラックが生じている場合には、コンクリートの打設工事か何らかの工事において施工品質が良くなかった可能性がありますから、しばらく経過観察してひび割れが増えていないか、また1つ1つの割れが大きくなっていないか見ておく必要があります。

1-3.構造クラックは心配した方がよい

構造クラックが生じている場合、放置しておくと基礎コンクリート内部へ雨水が侵入してしまい、コンクリートの劣化を早めることがあります。基礎内部の鉄筋まで水分が到達してしまいますと、鉄筋が錆びたり爆裂したりすることもあり、構造的なダメージは更に大きなものとなってしまいます。

構造クラックが生じているときには、対処方法を工務店に提案してもらい、適切な補修をしなければなりません。もちろん、第三者の住宅診断(ホームインスペクション)で利害関係のない人の意見やアドバイスを聞くのも有効です。そして、このときには床下へ潜ってもらって基礎の裏側の状況も確認してもらうことをお勧めします。

2.外壁のひび割れの基礎知識

外壁面もじっくり観察すれば、ひび割れを発見することは多いです。築年数の経過とともに生じやすくなりますが、基礎と同様に個々の症状によって適切な判断や対処が必要です。

2-1.外壁ひび割れの有無の確認方法

外壁は基礎と異なり、高い位置までありますから、確認が少し厄介です。しかし、大事なことですから、慎重に確認しましょう。

1階部分の外壁は庭など地上から確認できますね。2階部分や3階部分については、地上からの確認だけではなく、各階の窓から覗いて確認したり、ベランダからも確認したりしましょう。

2-2.仕上げ材のみのひび割れは大きな問題でないことが多い

外壁面でひび割れを確認した場合の判断についてです。外壁は、外から目視できる仕上げ材(サイディングやモルタル塗り等)でひび割れを確認しているわけですが、サイディングそのものが割れていることはそう多くありません。もし割れがあれば、工務店に対処方法を相談したほうがよいでしょう。

しかし、サイディングの継ぎ目のシーリング材が割れていることはよくあります。中古住宅では、よく見かける症状ですが、その程度によっては急ぎ補修すべきこともありますから注意が必要です。単純にコーキングを上塗りするのではなく、シーリングのやり替えが必要だと判断されることもありますから、安易に判断しないようにしましょう。

症状がひどい場合は、これが雨漏りの原因となることもあります。

モルタル塗りの場合もひび割れが見られることはよくあります。表面のモルタルにのみひび割れが生じているのであれば、今すぐの心配はありませんが、ひび割れが多い場合には建物の歪み・傾きなどがないかも確認しておきたいところです。

外壁のひび割れ

2-3.下地材まで到達するひび割れは心配した方がよい

外壁のひび割れが表面だけではなく、下地材まで達しているような場合には心配です。モルタル塗りの場合、下地が動いて割れている場合もあれば、下地材の状態が悪くて塗装だけをやり替えてもしばらくしたら再発してしまうこともよくあります。

ひび割れを見て表面だけではないのではないかと感じたら、一度、専門家に住宅診断(ホームインスペクション)してもらった方がよいでしょう。

3.外壁や基礎にひび割れがある住宅でも購入してよい

中古住宅を購入するとき、基礎や外壁にひび割れを目撃することはよくあることです。ひび割れがあるからと言って購入を中止するのでは、買える物件がほとんどなくなってしまいます。個々の症状を見て、心配する必要性の有無を判断しましょう。

明らかに心配する必要が無い程度のものであれば、そのまま購入してもよいでしょう。多少なりとも心配されるように見えるようであれば、大事な購入判断のためですから、専門家に診断してもらう方法も前向きに検討しましょう。

住宅診断の結果として、「早期に補修が必要だ」「緊急性はないが補修した方がよい」「対処する必要はない」などのアドバイスを得られるはずですから、それも参考にして購入するかどうか判断しましょう。「早期に補修が必要だ」とのアドバイスであったとしても、そのコスト負担が予算に収まるようであれば問題ないと判断する人もいます。

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