新築住宅の引渡し時の注意点(完成検査・諸費用・スケジュール)

新築住宅の引渡し時の注意点

購入した新築住宅の引渡しを受けることは、住宅購入者にとってはマイホームを持つ瞬間であり、わくわくする楽しいことです。完成物件を購入した人であれば、購入前の見学時に実物を見ていたはずですが、未完成物件の建売住宅を購入した人や注文建築で家を建てた人ならば、引渡し時にはじめてマイホームの全貌を見ることになり、よりわくわくすることでしょう。

しかし、新築住宅の引渡しは住宅購入の流れのなかでも大変重要な段階であり、注意点をよく理解しておかなければなりません。引渡し前の流れと注意点をご紹介します。

< 新築住宅の引渡し前後の流れ >

  1.  新築住宅の完成
  2.  建築会社による社内検査
  3.  売主による社内検査(建売住宅の場合)
  4.  買主による引渡し前の完成検査(注文住宅なら施主検査)
  5.  補修工事(手直し工事)
  6.  補修後の買主による確認(注文住宅なら施主による確認)
  7.  金銭消費貸借契約(住宅ローンの融資計画)
  8.  融資実行・残代金の決済(支払い)・諸費用の精算・引渡し
  9.  引越し・入居

この引渡し前後の流れは、未完成物件を購入した時の流れですが、完成物件を購入した場合であっても、完成時には上記1~3の流れがあるはずです。上記2や3の建築会社や売主による社内検査に問題があることが多いのですが、そのことはこの後の「引渡し前後の注意点」で後述しています。

一般的な流れはこの通りになりますが、同時に変更して進めることも多いです。引渡し前にしておく段取りとしては以下のことがあります。

< 上記と並行して進めること >

  • 司法書士・土地家屋調査士と登記手続きの段取り
  • 金融機関と融資・決済・引渡しに関する段取り
  • 引っ越しの段取り

司法書士や土地家屋調査士との段取りとは、登記に関する手続です。但し、基本的には不動産会社や建築会社が段取りしてくれるはずです。不動産会社等から登記関連の費用がいくらになるか、この時期に提示されますので確認しておきましょう。

住宅ローン(融資)を受ける金融機関とは、金銭消費貸借契約(融資の契約)の契約日や融資実行日について打ち合わせをしなければなりません。不動産会社等の提携金融機関で融資を受ける場合は、ほぼすべての段取りを不動産会社の方でやってくれることが多いですが、提携金融機関でない場合には、ある程度は自分自身で段取りしなければなりません。

何を自分でしなければならないかは、不動産会社に前もって確認しておいてください。担当者によっては、あまりに慣れておらず、買主が希望する融資実行日や引渡日に間に合わないなんて事例もあります。

引越し業者の手配は買主が自分で全てやらなければなりません。引渡し日が確定すれば、早い段階で依頼しておいた方がよいでしょう。

< 引渡し前後の注意点 >

  • 諸費用の確認
  • 「4.買主による引渡し前の完成検査(注文住宅なら施主検査)」が非常に重要
  • 「6.補修後の買主による確認(注文住宅なら施主による確認)」も重要
  • 未完成住宅の引渡しに注意
  • 引越し日の設定にゆとりが必要

新築住宅の引渡しの流れが理解できれば、次は注意点を頭に入れておきましょう。引渡し時の対処次第では、後々に後悔することも多いものです。

まず、諸費用の確認です。最初に契約する前に概算金額を確認しているはずですが、引渡し段階になって諸費用の項目と金額を最終確認しなければなりません。契約前に確認した諸費用の概算額と相違する点としては、登記費用や固定資産税・都市計画税の精算金があげられます。

登記費用は司法書士事務所の名称で発行された明細や請求書で確認するようにしてください。不動産会社が中抜きする事例も少なくなく、書類での確認をしない人だと思われたら、担当者次第では損をすることもあります。

次に、買主(注文住宅なら施主)による完成検査です。完成した建物の施工品質や契約したものが完成しているかを現地でチェックする作業です。新築する過程で、建築会社や不動産会社が第三者検査を入れているものの、残念ながら簡易的で、かつ限定的な検査でしかないため、買主(または施主)が細かくチェックしなければなりません。

建築会社などによる社内検査も、まじめに適切にしてくれている会社もあれば、簡単にしか実施していない会社や社内検査をほとんどしていない会社もあります。

建売住宅ならば、建築会社が社内検査をしてから売主である不動産会社も検査すべきなのですが、不動産会社は建築会社任せにしていて何もチェックしていないことが多いです。つまり、買主が自分で検査を適切にして補修すべき箇所を伝えなければなりません。

営業担当者の対応がよくても、検査をきちんとしているかどうかは全く別であるため、「担当はいい人だったのに」と後悔している人の声をよく聞きます。買主が自分で確認しなければならないことをよく理解しておきましょう。

できれば、第三者の専門家に立ち会ってもらうよう検査依頼することも考えた方がよいでしょう。新築住宅の完成後・引渡し前の住宅診断(ホームインスペクション)の利用は、建築に関する専門知識のない買主にとって大事な選択です。

そして、建築会社に指摘事項を伝えて補修(手直し)して頂いた後には、補修後の状態を再度、確認することも大事です。第三者の専門家に指摘して頂いた箇所でも、場所がわかっておれば、補修後を買主が自分で確認することは難しくないことが多いです。

引渡し前後の注意点はほかにもあります。住宅の工事が遅れて、予定していた引越し日に間に合いそうにないときや建築会社の都合などで、工事の一部が未完成であるにも関わらず、住宅の引渡しをしようとするケースがあります。

一般的な感覚ではありえないことなのですが、実際に未完成住宅の引渡し事例は少なくなく、そういった事例のなかでは、その後の工事の品質や対応の悪さに関して建築トラブルに発展する確率も高いです。必ず、住宅の完成を現地で確認してから引き渡しを受けるようにしてください。

ここでいう完成とは、買主による完成検査と手直し工事、その後の再確認も終えた状態を指しています。手直し工事の後の再確認を終えるまで引渡しを受けないよう注意しましょう。

最後に引越し日の設定です。前述したように工事の遅れなどにより、完成日が予定より遅くなることはよくあることです。完成物件を契約したのであればよいですが、未完成物件を契約したときや注文建築で家を建てるときには、工期遅れの可能性を考えておき、引越し予定日にはゆとりをもたせておく必要があります。

引越し日にゆとりがないために、未完成の住宅の引渡しを受けざるを得ないという状況に陥ることのないよう注意しましょう。

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