第三者の一級建築士による住宅診断の指摘事例の第3弾です。今回の住宅診断の対象となるのは、神奈川県内のある物件で、一般個人の方が自宅を売却し、それを依頼者が購入しようとしているものです。
築5年の木造2階建ての一戸建て住宅ですから、建物の状態は本来ならばそれほど裂開しておらず、良い状態のはずです。それでは、住宅診断の結果を見てみましょう。
床下と屋根裏の診断
床下も屋根裏も比較的に大事なものであり、主要構造などを点検することが可能です。今回は床下や屋根裏の内部へ潜って行う調査の利用は希望されていないため、このオプション調査を行っておりませんが、それでも点検口からのぞいて見える範囲だけでも調査しています。
確認できる範囲においては、構造体や断熱材などに指摘事項もなく、安心できるものでした。また、断熱材の状態や配管などにも問題は見られず、蟻害もありませんし、屋根材(屋根裏側)には雨漏りなどの染みもありません。
床下や屋根裏の状態は良いものだと判断できました。
天井裏の診断
多くの住宅において、浴室の天井点検口から天井裏の一部分を確認することができますが、こちらの住宅でもそうでした。
点検口からのぞいて確認したところ、2階の床の合板の下側に染みが見られました。位置的には漏水の可能性は高くなく、外壁などに原因となりえる症状も確認されないことから、建築中の降雨によって部材が濡れて染みが残った可能性が考えられます。
念のため、たまに点検口から同箇所や周辺を確認し、新たな染みの発生や広がりがないか確認することをアドバイスしています。
天井裏では、換気用のダクトや電気配線の一部を目視確認することもできるため、確認を行い、特に問題はありませんでした。
室内の診断
建物内部(室内)の住宅診断では、リビングや洋室などで床や壁の傾き・歪みがないか計測器具を用いて確認していきますが、異常はありません。ひび割れなどの気になる症状も見られず、良好な状態です。
建具の一部で動作不良がありましたが、これは建物の傾きなどによるものではなかったため、多少の調整で対処できる軽微なものです。
築年数が5年と築浅の中古住宅でも、築10年や20年の住宅とかわらないほど劣化が進んでしまっている住宅もありますが、この住宅診断の結果からは築年数の相当程度かもしくは築年数より状態の良い住宅であることがわかりました。
築年数が浅い住宅である場合、売買代金に占める建物価格の割合が高いですから、築年数よりも劣化が進んでいる場合は買主にとってデメリットとなります。大きな瑕疵や著しい劣化がなく、急ぎ補修すべき点もなく、築年数程度の状態を十分に保っていることからからも、安心感のある中古住宅であったと言えます。
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