新築と中古住宅の住宅診断の相違点

新築と中古住宅の住宅診断の相違点

住宅診断(ホームインスペクション)は、新築住宅でも中古住宅でも利用されています。新築では完成物件に対して住宅診断を利用することが多いと思われるかもしれませんが、実は建築中にも数多く利用されています。

新築と中古住宅では、住宅診断で行うこと(調査内容など)に相違があるのでしょうか。新築と中古では特性に違いがありますから、調査内容などに違いがあるのも当然です。相違点や同じ点について解説します。

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1.新築住宅の住宅診断の内容

まずは新築住宅の住宅診断について解説していきます。ここでは新築の完成物件をイメージして解説していますので、ご注意ください。

  1. 施工品質・施工ミスのチェック
  2. 新築住宅では図面との相違点の確認を行うか?
  3. 新築住宅では違法性の確認を行うか?

以上の流れに沿って説明していきますね。

1-1.施工品質・施工ミスのチェック

新築住宅を購入する人が利用する主な目的が、この「施工品質・施工ミスのチェック」ですね。欠陥住宅を買いたくないという当然の想いに応えるもので、完成後の住宅診断のみではなく、建築中から利用する人も多いです。

完成後では、隠れて見えなくなった部分の施工ミス等を確認できないため、建築中から利用することをお奨めします。ただ、完成済みの建売住宅を買うときにはどうしても完成後のみの利用となってしまいます。

診断の担当者(アネストでは必ず一級建築士)が、建物の外部も内部も調査していき、施工ミス・不具合があれば指摘して報告していきます。

1-2.新築住宅では図面との相違点の確認を行うか?

住宅診断において図面と現場の相違点をチェックしていると考えている人もいるようです。多くの住宅診断では、図面と現場の相違点のチェックはそれほど細かくしているわけではありません。例えば、キッチンカウンターの高さ寸法が図面通りであるか、各部屋の面積や長さ・高さが図面と一致しているかといったことまで確認することはありません。

一般的には、窓が図面通りの位置に配置されているかといった大雑把な範囲においては確認してもらえるものですが、細かな寸法などまで確認することはしていません。

但し、何か理由などがあってそういったことまで心配で確認を希望する場合は、住宅診断会社に相談してみてください。別途費用はかかるでしょうが、対応してもらえる可能性はあります。そのときには、具体的にどういったところまで計測等を希望するのか伝えてから診断の見積りを出してもらいましょう。

1-3.新築住宅では違法性の確認を行うか?

住宅診断の問合せをされる人のなかに、「この住宅が法律違反していないか確認してほしい」という要望を頂くことがあります。新築住宅の場合、建築確認申請・中間検査・完了検査といった建築基準法によって求められている手順を踏むことで違法でないことを確認しているのですが、それでも何か理由があって心配だということもあるようです。

基本的には、建築確認申請・中間検査・完了検査の流れ通りに進めることで建築基準法に反するということはないはずですが、この中間検査や完了検査は見落としが多いのも事実であり、アネストの住宅診断によって違反した工事内容が見つかることもあります。

しかし、住宅診断は違法性の確認を目的としておりません。新築住宅であれば、前述した施工ミスのチェックを行うものであり、違法性までは見ておりません。診断を進めるなかで、明らかに違反だとわかることに気づいたときはお伝えすることもありますが、基本的には対象外だと考えましょう。

仮に、違法性の確認も希望される場合は事前に対応可否について住宅診断会社に相談した方がよいです。

新築の住宅診断

2.中古住宅の住宅診断の内容

次に中古住宅の住宅診断について説明します。

  1. 施工品質・施工ミスのチェックは中古住宅でも行う
  2. 劣化具合の調査
  3. 中古住宅では図面との相違点の確認を行うか?
  4. 中古住宅では違法性の確認を行うか?

以上の流れに沿って中古住宅の診断について解説していきます。

2-1.施工品質・施工ミスのチェックは中古住宅でも行う

新築住宅の住宅診断であれば、施工品質や施工ミスの有無を調査するのは当然にイメージできるでしょう。中古住宅は直前に施工したわけではないのですから、施工ミス等を調べるわけではないと考えている人もいるようです。

しかし、実際には施工ミスのチェックも行っています。新築時に施工ミスがあり、それを補修対応していなければ何年経過してもそれがそのままになっているからです。たとえ建築後10年経っていようとも、20年経っていようとも施工ミスがあれば補修などの対応を考えた方が良い場合は多いです。

中古住宅でも施工ミス等はチェックするのですね。

2-2.劣化具合の調査

中古住宅ではあって新築住宅ではないものが、この劣化具合の調査です。新築でも完成後1年や2年経過しても売れていない場合には、劣化具合を確認することもあります。

建物は経年により劣化していくものです。基礎や壁などにひび割れ(クラック)が生じたり、床の軋みがひどくなったりすることがあります。そういった劣化を確認していくのですが、劣化していることが全て悪いことというわけではないので、そこは理解を誤らないようにしてほしいところです。

建物は、築10年のものでも20年程度の住宅かと思うぐらい劣化が早く進行していることもあれば、逆に築20年なのに10年ぐらいのものかと思うぐらい状態のよいものもあります。その住宅の築年数相当の劣化なのか、築年数よりも劣化の進行が早すぎるのかといったことまで考えた方がよいです。

2-3.中古住宅では図面との相違点の確認を行うか?

中古住宅において図面と現場の相違の確認を行うことは基本的にありません。新築と同様にサッシ位置などの確認は診断作業の流れの中で確認できますが、細かな寸法などを確認することはありません。

これを希望されるなら、やはり事前に住宅診断会社に相談が必要です。但し、中古住宅では詳細な図面がなく間取り図ぐらいしかないことも多いため、図面との相違点の確認は追加料金を支払ってでも確認したいと希望しても対応できないことは多いです。

2-4.中古住宅では違法性の確認を行うか?

違法性の確認についても新築同様に通常の住宅診断には含まれていません。これを希望する場合は、事前に相談しておく必要があります。

中古住宅の場合、違法性といっても仕方ないものもあるので誤解しないようにしましょう。その建物を新築した当時の法基準を遵守して建築したものの、その後の法律改正等によって後から適合しなくなった住宅というものが数多く存在しているのです。

これを既存不適格の住宅と言います。購入時点や居住中には特に問題はありませんが、建替えや増改築をするときには、そのときの法律に従う必要があります。

また、リフォーム済み中古住宅を購入するときには、そのリフォームに違法が疑われることがあります。ただ、これも住宅診断でチェックする項目ではないため、希望する場合は依頼前に相談しておく必要があります。

3.新築も中古も住宅診断は現場主義

ここまで、新築と中古における住宅診断の相違点や同じ点についてみてきました。共通点として、重要なことの1つに現場主義という考えがあることを最後に説明しておきます。

住宅診断の依頼を考えている人のなかには、写真を見てもらって見解がほしいという人もいます。気持ちはわかるのですが、写真では判断しづらいことも多く、撮影の仕方(角度・明るさ・対象物との距離感など)で誤解してしまうリスクが高いです。また、施工業者が撮影した建築中の写真を見てほしいということもありますが、施工業者でも撮影の仕方に問題があることもありますし、何より都合の悪い写真を提出しないこともあります。

住宅診断は新築でも中古でも現場主義です。現場に出向いて、目で見て、測定して、触って診断していかなければなりません。写真での相談よりも、現場を見てもらうことを最優先で考えたほうがよいでしょう。

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