初めて住宅診断を利用する人にとって、その診断に必要な時間がどれぐらいのものであるかイメージしづらいでしょう。売主や不動産仲介業者には所要時間を伝えておいた方が無難ですから、住宅診断の申し込み時には所要時間をきちんと確認するようにしましょう。
1.住宅診断の平均的な所要時間
住宅診断の所要時間は様々な事項によって影響を受けるため、一概には言えません。時間に影響を及ぼす項目については後程説明しますが、まずは平均的な所要時間がどれぐらいであるか理解しておきましょう。
仮に、建物面積(延床面積)が100平米の木造2階建て住宅である場合、住宅診断の平均的な所要時間(現地調査に要する時間)は2~2.5時間程度です。但し、床下内部や小屋裏内部の診断も依頼する場合は、3.5時間程度が平均的な時間です。
しかし、現場によっては所要時間の差が小さくはありません。上記の前後30~60分程度もずれることはよくあることです。それでは、どのような事項が所要時間に影響を及ぼすのか見ていきましょう。
2.住宅診断の所要時間に影響する事項
以下は住宅診断の所要時間に影響する項目です。
- 建物面積の大きさ
- 指摘事項の数の多さ
- 住宅診断の担当者(インスペクター)のペース
- 売主・工務店の対応
- 依頼者の対応
- 調査範囲
上の1つ1つについて、説明していきます。
2-1.建物面積の大きさ
建物の面積の違いが時間に影響するのはわかりやすいですね。大きな建物ほど時間がかかるため、住宅診断会社は建物面積によって料金を変えていることが一般的です。
2-2.指摘事項の数の多さ
実際に現場で住宅診断を進めていくと、指摘箇所が非常に多い住宅もありますが、指摘箇所が多ければ多いほど時間が長引く傾向にあります。
指摘箇所はチェックシートにメモしたり、写真撮影したりするなどして記録を残していかなければなりません。ちょっと目もするぐらいと思われるかもしれませんが、1つ1つメモを取る作業は意外と時間を要するものです。施工の粗い新築住宅や大事な劣化事象の多い中古住宅ではどうしても時間がかかりやすいのです。
2-3.住宅診断の担当者(インスペクター)のペース
診断を担当する人(インスペクター)の性格・ペースというものも影響があります。丁寧で且つテキパキと診断を進めていくのはなかなか難しいものです。人によって、多少は所要時間に差があると考えておいた方がよいです。
2-4.売主・工務店の対応
住宅診断の時間は人による影響が大きいです。新築住宅である場合、売主や建築会社の立会いのもとで診断することが多いですが、施工ミスの指摘に対して言い訳が多い業者であれば、どうしても時間が余分にかかってしまいます。
また、指摘事項が多くなくても、指摘内容をメモもとらない売主であれば、その内容の確認(突き合わせ)に係る時間が長いこともあります。
中古住宅でも、個人の売主の方がいろいろ話かけてこられて、時間が長引いたというケースもあります。これは買主から依頼を受けて診断した時の話ですが、そういった売主に対して、対応しないわけにもいかず、時間がかかってしまうのです。
2-5.依頼者の対応
実は、場合によっては依頼者ご自身によって所要時間が大きく異なるときも少なくありません。許容範囲とされる細かな点を数多く相談されたり、売主側へ説明を求めたりすることで、時間が延びることはよくあることです。
しかし、大事な住宅購入のタイミングで利用するわけですから、疑問点や聞きたいことがあれば、あまり遠慮せずに聞いた方がよいです。
2-6.調査範囲
住宅診断会社によって、対象とする調査範囲が異なることもあります。調査範囲が異なれば、所要時間も異なるのは当然ですね。
たとえば、外構部分を全く調査しない会社と調査する会社がありますが、同じ物件であってもこれだけで所要時間に差異が出てきますね。
3.レポート(報告書)の作成時間
住宅診断に必要な所要時間ですが、実は依頼者にはわからないところでも、結構な時間が必要です。それは、事前準備とレポート(報告書)の作成です。
事前準備とは、間取り図などを見て建物の形状をある程度、頭に入れておき、調査を進める手順などを考えておくことや、その住宅の間取りに適したチェックシートを用意しておくことなどです。
また、住宅診断を終えて帰社した後には、レポート(報告書)を作成しなければなりません。作成するレポートの内容等によってこの所要時間にも大きな差がありますが、1時間~3時間程度かかることがあります。さらに、社内チェックなどもありますから、実際にはこれ以上の時間が必要です。
住宅診断の現地での所要時間は、前述した時間よりも多少はゆとりを見ておくとよいでしょう。
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